いつものことだが、電車は満員だった。
そして、いつものことだが
若者と娘が腰をおろし、としよりが立っていた。
うつむいていた娘が立って、としよりに席をゆずった。
そそくさととしよりが座った。
礼も言わずにとしよりは次の駅で降りた。
娘は座った。
別のとしよりが娘の前に、横合いから押されて来た。
娘はうつむいた。
しかし、又立って、席をそのとしよりにゆずった。
としよりは次の駅で礼を言って降りた.
娘は座った。
二度あることは、と言う通り
別のとしよりが娘の前に押し出された。
可哀想に、娘はうつむいて
そして今度は席を立たなかった。
次の駅も、次の駅も
下唇をキュッと噛んで、身体をこわばらせてー。
僕は電車を降りた。
固くなってうつむいて、娘はどこまで行ったろう。
やさしい心の持ち主は
いつでも、どこでも、われにもあらず受難者となる。
何故って、やさしい心の持ち主は
他人のつらさを自分のつらさのように感じるから。
やさしい心に責められながら
娘はどこまでゆけるだろう。
下唇を噛んで、つらい気持ちで
美しい夕焼けも見ないで。
(切り絵の合間のいっぷくでした。長々とすみません)
う~む・・・いい詩です!!
「年寄りに席を譲らない」・・・よく耳にしますが、譲ってもらった年寄りから“挨拶”もない・・・このモラルの無さも大いに問題かと思います。
下唇をキュッと噛む想いじわぁ~と感じちゃいます。。。。
和の森様
そう!おおいに問題ですよね。
makotaku様
うまく言えないけれど、只この詩が好きです。
心に、じんときます!
こういう事よくあります。
席が空いたとき、周りを見て 自分が座っていいか考えます。
お年寄りが乗って来たら、座れるか様子を見ます。
だから、席を譲ったら その場を離れる事にしてます。
...って、いつも席を譲る「いい人」ではないですけどね。
難しいです。
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